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相続税をできるだけ抑えたい方へ|節税対策の選び方と失敗しない注意点

相続税を少しでも抑えたい方へ、生前贈与・生命保険・不動産などの節税対策と選び方、二次相続や失敗を避ける注意点を分かりやすく解説します。

目次

相続税の節税対策は「何をするか」より「自分に何が合うか」が重要

節税対策を選ぶ前に整理したい5つの条件

相続税対策の第一歩は、具体的な節税方法を探すことではなく、現在の状況を把握することです。同じ1億円の財産でも、現預金が中心なのか、自宅や賃貸不動産が中心なのか、家族経営の会社の株式が多いのかによって検討すべき内容は変わります。

特に確認したいのは、次の5点です。

  • 財産総額:相続税がどの程度見込まれるのか
  • 財産構成:現預金、不動産、保険、有価証券、自社株など何が多いのか
  • 家族構成:配偶者や子どもなど相続人になる人は誰か
  • 年齢と健康状態:生前対策にどの程度の時間をかけられるのか
  • 相続後の生活:財産を渡した後も本人や配偶者の生活資金を確保できるのか

たとえば現預金の割合が高く、十分な生活資金を確保できる場合には生前贈与を検討する余地があります。一方、自宅など換金しにくい資産が中心の場合には、税額だけでなく納税資金をどう確保するかも重要になります。

最初から「贈与をする」「不動産を買う」と決めるのではなく、現在の財産と将来必要になるお金を整理してから対策を選ぶことが重要です。

早めの対策が向く人と慎重な判断が必要な人

相続税対策は、一般に使える時間が長いほど選択肢を検討しやすくなります。特に生前贈与は複数年にわたる計画になることがあるため、「まだ元気だから早い」と考えるより、元気なうちに現状だけでも確認しておくことに意味があります。

一方で、節税のために生活資金まで贈与したり、多額の借入れをして不動産を購入したりするのは慎重に考える必要があります。

また、相続税が発生するかどうかも確認しないまま節税対策を始めると、税負担を減らす必要がほとんどないのに、財産管理が複雑になる場合もあります。

まず概算の財産額と家族構成から相続税の見込みを確認し、本当に対策が必要なのかを判断することが出発点です。

生前に検討できる代表的な相続税の節税対策

相続税

生前贈与は暦年課税と相続時精算課税を分けて検討

生前贈与は代表的な相続税対策ですが、「毎年110万円を贈与すれば、その分がすべて相続財産から外れる」と単純に考えるのは避けた方がよいでしょう。

暦年課税には年間110万円の基礎控除があります。ただし、相続や遺贈によって財産を取得した人が被相続人から一定期間内に受けた暦年課税による贈与については、相続税の計算上、贈与時の価額を加算する仕組みがあります。加算対象期間は段階的に延長され、令和13年1月1日以後に開始する相続では原則として相続開始前7年以内となります。110万円以下の贈与であっても加算対象になる場合があるため注意が必要です。

もう一つの選択肢が相続時精算課税です。現在の制度では毎年110万円の基礎控除が設けられており、さらに累計2,500万円の特別控除があります。110万円の基礎控除後の贈与財産については、贈与者が亡くなった際に原則として相続税の計算へ反映されます。

どちらが有利かは、贈与する財産、金額、期間、将来の値上がり可能性、相続税が発生するかどうかなどによって変わります。「110万円」という数字だけを見て判断せず、将来の相続まで含めて比較することが大切です。

生命保険を活用した非課税枠と納税資金の準備

生命保険は、相続税対策と納税資金の準備を同時に検討できる方法の一つです。

被相続人が保険料を負担していた死亡保険金を相続人が受け取る場合、相続税では「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります。なお、この非課税制度は相続人が取得した死亡保険金について適用されるもので、相続人以外の人が取得した死亡保険金には適用されません。

生命保険には、現金で受け取れるため納税資金や当面の生活資金として使いやすいという面もあります。遺産の大部分が土地や建物で、現預金が少ない家庭では特に納税資金の確認が重要です。

ただし、誰が保険料を負担し、誰が被保険者となり、誰が保険金を受け取るかによって税金の扱いは変わります。単純に「保険に入れば節税になる」と考えるのではなく、現在の保険契約も含めて確認することが必要です。

不動産と小規模宅地等の特例を考えるときの注意点

相続税対策として不動産が話題になる理由の一つは、現預金と不動産では相続税評価の方法が異なるためです。しかし、「不動産を買えば必ず節税になる」という考え方は適切ではありません。

物件価格だけでなく、収益性、借入金、管理費、修繕費、空室リスク、売却しやすさまで含めて判断する必要があります。相続人が管理したくない不動産を節税目的だけで残せば、相続後の負担になる可能性もあります。

また、自宅や事業用の宅地などでは、小規模宅地等の特例を利用できる場合があります。たとえば一定の要件を満たす特定居住用宅地等については、330平方メートルまで80%の評価減が認められます。適用には取得者や居住状況などの条件があるため、土地があるだけで自動的に使える制度ではありません。

不動産については「買う対策」だけでなく、「現在所有している土地にどの制度が使えるのか」を調べることも重要です。

相続発生後でも確認したい税負担を抑える制度

小規模宅地等の特例や各種控除の適用可否

相続が発生した後では、生前贈与などの対策はできません。しかし、相続発生後でも利用できる特例や税額軽減を正しく確認することで、最終的な相続税額が変わる可能性があります。

特に自宅、事業用土地、賃貸物件などがある場合、小規模宅地等の特例を使えるかどうかは重要な確認事項です。特例の適用には土地の利用状況だけでなく、誰がその土地を取得するか、相続後も一定の要件を満たすかなどが関係します。

相続税申告では「財産を漏れなく計上すること」と同時に、「使える特例や控除を漏らさないこと」も重要です。

相続発生後に「もう節税できない」と決めつけるのではなく、財産評価、遺産分割、適用できる特例を確認してから申告額を計算する必要があります。

配偶者の税額軽減と二次相続まで考えた遺産分割

配偶者には大きな税額軽減制度があります。被相続人の配偶者が実際に取得した正味の遺産額について、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは、原則として配偶者に相続税がかかりません。

そのため、一次相続だけを見ると「できるだけ配偶者に相続させた方が税金は少なくなる」と見えることがあります。

しかし、配偶者が多くの財産を相続すると、その配偶者が亡くなったときの二次相続で財産が再び課税対象となります。二次相続では配偶者の税額軽減を使えず、一般には相続人の人数も一次相続より少なくなる可能性があります。

したがって、一次相続の税額が最も小さくなる分け方と、一次・二次相続を合計した税額が小さくなる分け方は一致しない場合があります。

相続税だけで遺産分割を決めるべきではありませんが、配偶者の今後の生活費や住まいを確保したうえで、二次相続まで試算しておくことが重要です。

相続税対策で失敗しないための注意点

節税額だけを優先すると起こりやすい問題

相続税対策で最も避けたいのは、「税金を減らすこと」が目的になり、ご本人やご家族の暮らしが後回しになることです。

たとえば、多額の生前贈与を行えば本人の手元資金が不足する可能性があります。不動産を購入すれば、相続税評価を考える余地がある一方で、管理や借入返済、空室、修繕など新しい問題も生まれます。

また、一人の子どもに財産を集中して贈与すれば税務上の検討だけでなく、他の家族がどう感じるかも考える必要があります。

相続税対策で確認したいのは、

  • 対策後も本人の生活資金が十分残るか
  • 納税資金を確保できるか
  • 相続人の間で不公平感が生まれないか
  • 管理しにくい資産を次世代に残さないか
  • 一次相続だけでなく二次相続まで不利にならないか

という点です。

税額が下がる方法でも、ご家族全体にとって望ましいとは限りません。数字と家族の事情を一緒に考えることが大切です。

名義預金や贈与方法など税務上の確認事項

生前贈与では、「お金を移した」という事実だけで判断しないことが重要です。

たとえば親が子ども名義の口座を作り、通帳や印鑑を親自身が管理し続けているような場合には、本当に子どもへ贈与された財産なのかが問題になることがあります。

贈与は、渡す側だけで完結するものではありません。財産を渡す意思と受け取る意思があり、実際に受贈者がその財産を管理できる状態になっているかなど、実態を含めた確認が必要です。

また、「毎年110万円以内なら何をしても問題ない」と考えるのも避けたいところです。暦年課税の生前贈与には相続時の加算制度もあるため、贈与した時期と相続開始時期によって扱いが変わります。

贈与を続ける場合は、金額だけでなく、贈与の方法や記録、財産管理の実態まで整理しておくことが重要です。

一次相続だけで判断しない二次相続の考え方

夫婦のどちらかが亡くなる一次相続と、その後もう一方の配偶者が亡くなる二次相続は、一続きで考える必要があります。

一次相続では配偶者の税額軽減が大きいため、配偶者へ多く財産を渡せば当面の税額を抑えられることがあります。

しかし、本当に確認したいのは一次相続の税額だけではありません。

たとえば一次相続で配偶者へ財産を集中させる場合と、一次相続の段階で子どもにも一定額を相続させる場合では、一次相続の税負担と二次相続の税負担のバランスが変わります。

さらに、配偶者自身がもともと持っている財産の額も影響します。

そのため遺産分割を考える際は、

「今回いくら払うか」

だけではなく、

「家族全体で将来いくら負担する可能性があるか」

まで確認することが重要です。

木村会計事務所の相続・贈与サポート

財産と家族の状況を整理してから考える相続税対策

税理士法人木村会計事務所では、相続税の申告や遺産分割の調整、贈与に関する支援を行い、ご家族の対話も重視しながら資産を円滑に引き継ぐためのサポートを行っています。

私たちが大切にしたいのは、最初から特定の節税方法を決めることではありません。

まず財産総額、不動産、生命保険、ご家族の構成、過去の贈与などを確認し、「相続税がどの程度見込まれるのか」「どこに税負担が生じやすいのか」「対策を行う必要があるのか」を整理します。

相続税対策は、実行すること自体が目的ではありません。対策をしない場合と、贈与や保険などを検討した場合の違いを整理したうえで、ご本人とご家族が納得できる方法を選ぶことが大切です。

税務以外の問題も含めて整理できる連携体制

相続では、税金だけで問題が完結しないことがあります。

不動産の名義変更や遺産分割、法的な問題など、税理士以外の専門分野が関係するケースもあります。

木村会計事務所では、必要に応じて弁護士、司法書士、行政書士などの専門家と連携し、法務や相続を含む複雑な案件にも対応できる体制を整えています。また、公式サイトでは創業50年の歴史と、相続・贈与を含めた幅広い業務への対応を案内しています。

「税金について誰に聞けばよいのか」「登記など別の手続きも必要なのか」と相談先に迷っている場合も、まず状況を整理するところからご相談いただけます。

初回相談から提案・見積もりまでの流れ

木村会計事務所では、相続に関する初回無料相談を案内しています。初回相談では、ご家族構成や財産の概要、不安に感じていることなどをお伺いします。資料の準備は必須ではありませんが、財産に関する資料があると、より具体的に状況を整理しやすくなります。

相談前に分かる範囲で、次の情報を整理しておくとスムーズです。

  • 預貯金、有価証券などのおおよその金額
  • 土地や建物などの不動産
  • 生命保険の契約内容
  • 家族構成
  • 過去に行った生前贈与
  • 自社株など事業に関係する財産
  • 相続について現在不安に感じていること

すべて分からなくても問題ありません。

初回面談で状況を確認した後、必要なサービスをご提案し、その内容に基づいた見積もりを作成する流れです。

「節税できるかどうか知りたい」という段階でも、まず現在の相続税の見込みを整理するところから始めることができます。

相続税の節税対策に関するよくある質問

年110万円の生前贈与は今でも相続税対策になりますか?

年間110万円は現在も暦年課税の贈与税の基礎控除額です。ただし、「110万円以内なら必ず相続税から完全に外れる」という意味ではありません。

相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人から加算対象期間内に暦年課税による贈与を受けていた場合は、110万円以下の贈与についても相続税の課税価格へ加算されることがあります。

そのため、贈与を始める場合には、贈与税だけでなく将来の相続税まで含めて考えることが必要です。

暦年贈与の7年ルールで注意したいこと

暦年課税による生前贈与の相続税への加算対象期間は段階的に延長されています。

国税庁によると、令和8年12月31日までに開始した相続では原則3年以内、令和9年1月1日から令和12年12月31日までに開始した相続では令和6年1月1日から相続開始日まで、令和13年1月1日以後に開始する相続では原則7年以内が対象です。

そのため、「7年前に贈与しなければ意味がない」と単純に考えるのではなく、相続開始日によって対象期間が変わる点を確認する必要があります。

相続税対策を考えるなら、早い段階で贈与計画を検討する意味はありますが、本人の生活資金を減らしすぎないことが前提です。

相続時精算課税と暦年課税はどちらが得?

一律にどちらが得とは言えません。

相続時精算課税には毎年110万円の基礎控除と累計2,500万円の特別控除があります。一方、暦年課税にも年間110万円の基礎控除があり、それぞれ相続時の扱いが異なります。

判断するときは、贈与額だけでなく、贈与する財産の種類、今後の価値変動、贈与を続けられる期間、将来の相続税額などを確認します。

制度名だけで選ぶのではなく、自分の財産を当てはめて比較することが大切です。

不動産を購入すれば必ず相続税は安くなる?

必ず安くなるとは限りません。

不動産は現預金とは評価方法が異なりますが、節税効果だけを理由に購入すると、空室、価格下落、借入返済、修繕、管理、売却の難しさといった問題を抱える可能性があります。

また、小規模宅地等の特例も土地を持っていれば必ず利用できるものではなく、土地の用途や取得者など一定の要件があります。

相続税評価だけでなく、「相続人がその不動産を引き継ぎたいか」という視点も欠かせません。

相続税対策は税理士にいつ相談するのがよい?

相続税が気になり始めた段階で、一度試算してみるのが一つの方法です。

特に、不動産が多い、現預金が多い、過去に贈与をしている、家族経営の会社の株式がある、二次相続まで考えたいといった場合は、早めに状況を整理することで選択肢を検討しやすくなります。

一方、すでに相続が発生している場合でも、財産評価や小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減など確認すべき事項があります。

木村会計事務所では相続・贈与に関する相談を受け付けていますので、「対策が必要かどうか分からない」という段階でも、財産とご家族の状況を整理するところからご相談いただけます。

相続税の節税対策を考える方への確認ポイント

  • 相続税対策は方法の数ではなく、自分の財産や家族に合う方法を選ぶことが重要です
  • 最初に財産総額、財産構成、家族構成、年齢、将来必要な生活資金を整理します
  • 生前贈与は年間110万円だけで判断せず、相続時の加算制度まで確認する必要があります
  • 暦年課税の贈与財産の加算対象期間は段階的に延長され、令和13年1月1日以後の相続では原則7年以内となります
  • 相続時精算課税には毎年110万円の基礎控除と累計2,500万円の特別控除があります
  • 生命保険には一定の場合に「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります
  • 不動産は節税効果だけでなく、管理、収益性、借入、売却のしやすさまで確認することが大切です
  • 小規模宅地等の特例は大きな評価減につながる場合がありますが、適用には条件があります
  • 配偶者の税額軽減だけを見て遺産分割を決めず、二次相続まで確認することが重要です
  • 節税のために本人の生活資金を減らしすぎないよう注意が必要です
  • 生前贈与では金額だけでなく、贈与の実態や財産管理の方法も整理しておくことが大切です
  • 相続発生後でも財産評価や適用できる特例・税額軽減を確認する余地があります
  • 木村会計事務所では相続税申告だけでなく、相続・贈与や遺産分割などを含めた支援を行っています
  • 相続税がいくらになるか分からない段階でも、まず財産と家族の状況を整理することから始められます
  • 節税額だけでなく、ご本人とご家族が納得して財産を引き継げる方法を考えることが大切です