土地を相続して何から始めるか迷う方へ、相続登記の期限、土地の分け方、相続税評価、売却や処分方法、専門家への相談目安まで分かりやすく解説します。
目次
土地を相続したら最初に確認したい手続きと期限

土地を相続したときは、いきなり売却や名義変更に進むのではなく、「どの土地を誰が所有していたのか」「誰が相続人になるのか」「遺言があるのか」を最初に整理します。そのうえで遺産分割、登記、税金という順番で進めると、手続きの抜けを防ぎやすくなります。
最初に確認する土地・相続人・遺言の3点
最初に行いたいのは、相続対象となる土地の特定です。自宅の敷地だけでなく、駐車場、農地、山林、共有地などを故人が所有している場合もあります。
登記事項証明書などから所有者、所在地、地番、面積、共有持分、抵当権の有無などを確認します。固定資産税の納税通知書や固定資産評価証明書も、所有不動産を把握する手がかりになります。
同時に戸籍などから相続人を確認し、遺言書が残されていないかも確認します。遺言の内容や相続人の構成によって、その後の遺産分割の進め方が変わるためです。
特に確認したいのは次のような点です。
- 土地について:所在地、地番、面積、名義、共有持分、抵当権など
- 相続人について:配偶者、子、兄弟姉妹など、誰が相続人になるか
- 遺言について:遺言書の有無と内容
- 税金について:土地以外の預貯金や有価証券などを含む財産全体
- 今後について:住む、貸す、売る、保有するなどの希望
土地だけを見て判断すると、ほかの財産とのバランスが取れなくなることがあります。遺産全体を一度整理してから分け方を考えることが重要です。
相続登記は原則3年以内、過去の相続にも注意
2024年4月1日から、相続によって不動産を取得したことを知った場合の相続登記が義務化されています。原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
注意したいのは、義務化より前に発生した相続も対象になる点です。2024年4月1日以前から相続したことを知っている不動産が未登記の場合、原則として2027年3月31日までに相続登記が必要です。正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
「親が亡くなったのは何年も前だから関係ない」と考えず、登記簿上の名義が故人のままになっていないか確認してください。
遺産分割が長引き、期限までに誰が土地を取得するか決められない場合には、相続人申告登記という制度を利用して申請義務を履行できる場合があります。ただし、相続人申告登記だけでは売却などに必要な権利関係が完成するわけではありません。土地を売却する場合などは、最終的に相続登記が必要になります。
相続した土地で判断が分かれる主なケース
土地相続は、すべての人が同じ手続きをすればよいわけではありません。その後の目的によって優先順位が変わります。
自宅として使い続ける場合は、相続登記と相続税の確認を中心に進めます。一方、使う予定がなく売却したい場合は、登記を終えたうえで売却可能性や税金を確認する必要があります。
兄弟姉妹など複数の相続人で意見が割れている場合には、税金より先に遺産分割の問題を整理しなければならないこともあります。
また、土地の境界が分からない、共有名義になっている、農地や山林である、抵当権が付いているといった事情があれば、通常の宅地より確認事項が増えます。
自分の場合にどこから始めるべきか分からないときは、すべてを一度に解決しようとせず、「相続人」「登記」「税金」「土地の今後」という4つに分けて整理すると見通しを立てやすくなります。
相続した土地の分け方と失敗を避ける判断基準

土地は預貯金と違い、金額どおりに簡単に分けられません。そのため「誰が取得するか」だけでなく、ほかの財産とのバランスや将来の利用方法まで考えて分割方法を決めることが大切です。
現物分割・代償分割・換価分割の違い
土地を含む遺産の分け方には、代表的な方法として現物分割、代償分割、換価分割があります。
現物分割は、土地は長男、預貯金は次男というように、財産そのものをそれぞれ取得する方法です。財産の種類や価値に大きな差がなければ分かりやすい一方、土地の価値が遺産の多くを占める場合は公平な分割が難しくなります。
代償分割は、一人が土地を取得し、その代わりにほかの相続人へ金銭を支払う方法です。自宅や事業用地など、分割せず一人が持ち続けたい土地に向きます。ただし、土地を取得する人に代償金を支払える資金力が必要です。
換価分割は、土地を売却し、その代金を相続人で分ける方法です。誰も土地を利用する予定がない場合などには公平に分けやすい方法ですが、売却まで時間がかかる場合や希望額で売れない場合があります。
「公平だから」という理由だけで決めず、その土地を5年後、10年後に誰が使うのかまで考えることが大切です。
土地を共有名義にするときの注意点
複数人で土地を共有すれば、一見すると公平に相続できるように見えます。しかし、将来の売却や活用を考えると慎重な判断が必要です。
共有土地全体を売却する場合などには、共有者間の意思調整が必要になります。相続を重ねて共有者がさらに増えると、管理や処分の話し合いが複雑になることもあります。
そのため、「今は決められないから、とりあえず兄弟で共有」という選択は、将来の問題を先送りする可能性があります。
共有が必ず悪いわけではありません。家族で共同利用する目的があり、管理方法や将来の方針について合意できているケースもあります。ただし、利用予定がない土地については、単独取得や換価分割も含めて比較してから決めた方がよいでしょう。
売却・保有・活用で迷ったときの考え方
土地を相続したからといって、必ず保有し続ける必要はありません。一方で、急いで売却することが常に有利とも限りません。
自宅として使う予定がある土地、家族が将来利用する予定がある土地、賃貸などによる活用可能性が見込める土地は、保有を検討する余地があります。
反対に、利用予定がなく、固定資産税や管理負担だけが続く土地は、売却を含めて早めに出口を考えることが重要です。
判断するときは、売却価格だけを見るのではなく、固定資産税、草刈りや建物管理などの維持負担、将来の利用予定、土地の市場性、相続人同士の意向も合わせて考えます。
「残したいか」ではなく、「残す理由があるか」という視点で考えると、選択肢を整理しやすくなります。
土地に相続税がかかるか確認する方法

土地を相続しただけで、必ず相続税が発生するわけではありません。相続税は土地だけではなく、預貯金、有価証券、建物などを含めた遺産全体をもとに判定します。
相続税は土地だけでなく遺産全体で判定
土地の固定資産税評価額を見て「この金額なら相続税はかからない」と判断することはできません。
相続税では、土地だけでなく預貯金や株式、建物などの相続財産を確認し、債務なども含めて課税関係を整理します。さらに、相続人の人数によって基礎控除額も変わります。
そのため、土地の評価額だけ計算しても、相続税申告が必要かどうかは判断できません。
特に、都市部の土地、自宅以外にも複数の不動産がある場合、金融資産が多い場合、会社経営者で自社株などがある場合は、財産全体を早めに整理した方がよいでしょう。
路線価方式と倍率方式による土地評価
相続税における土地の評価は、売却査定額や固定資産税評価額をそのまま使うとは限りません。
国税庁では、土地を原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価し、主な方法として路線価方式と倍率方式を用いています。
路線価が定められている地域では、道路に付された路線価を基礎として、奥行や土地の形状などに応じた補正を行い、面積を乗じて評価します。
路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に国税庁が定める倍率を乗じる倍率方式が使われます。
なお、相続税の評価では、被相続人が亡くなった日の属する年分の路線価図や評価倍率表を使います。
土地の形状や利用状況で評価が変わる場合
土地評価は「路線価×面積」だけで終わるとは限りません。
間口が狭い土地、不整形な土地、奥行が長い土地、セットバックが必要な土地などでは、一定の補正が関係する場合があります。国税庁も土地の形状などに応じた各種補正を定めています。
また、土地を他人に貸している場合などは、権利関係によって評価方法が変わります。
土地の地目についても、登記簿上の記載だけではなく、相続時点の現況によって判定することがあります。
このように土地は個別性が高いため、概算を自分で確認することはできても、相続税申告のための最終的な評価は慎重に行う必要があります。
相続した土地を売る・手放す場合の選択肢

使わない土地を相続した場合は、「そのまま持つ」以外にも売却、相続放棄、相続土地国庫帰属制度などの選択肢があります。ただし、利用できる条件や手続きの時期が異なるため、同じものとして考えないことが重要です。
売却を考える場合の進め方
相続した土地を売却する場合は、まず相続関係と登記を整理します。
亡くなった人の名義のままでは、通常、そのまま買主へ所有権を移転することはできません。遺産分割によって誰が土地を取得するか決め、相続登記を行ったうえで売却を進めることになります。
売却を検討するなら、土地の査定だけでなく、境界、接道状況、共有関係、建物の有無なども確認しておくと、その後の判断がしやすくなります。
また、売却によって利益が生じれば所得税などが関係する場合があります。相続税を支払った場合には、一定の要件のもとで取得費加算の特例が関係するケースもあるため、売却時の税金まで含めて確認することが重要です。
相続放棄では土地だけを選んで放棄できない点
「この土地はいらないから、この土地だけ相続放棄したい」と考える方もいますが、相続放棄は特定の土地だけを選んで放棄する手続きではありません。
相続放棄をすると、原則としてその相続について最初から相続人ではなかったものとして扱われます。そのため、不要な土地だけ放棄し、預貯金だけ受け取るという使い方はできません。
また、相続放棄には原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月という期間があります。
借金が多い場合や管理が困難な財産が多い場合など、相続全体を受けるかどうか迷っているときは、土地だけを見て判断せず、財産と債務の全体を確認する必要があります。
売れない土地で検討できる相続土地国庫帰属制度
相続したものの利用予定がなく、売却も難しい土地については、相続土地国庫帰属制度を検討できる場合があります。
この制度は、相続などによって土地の所有権を取得した人が、一定の要件を満たした場合に土地を国庫へ帰属させるための制度です。申請すればすべての土地が必ず引き取られるものではなく、法務局による審査があります。
土地の状態によっては制度を利用できない場合があり、審査手数料や承認後の負担金も関係します。
そのため、「売れないから国に返せばよい」と考えるのではなく、売却可能性、管理負担、土地の状態、制度利用に必要な費用を比較して判断することが大切です。
土地相続で自分で確認できる範囲と専門家の相談先

土地相続では、税金、登記、遺産分割、境界、売却など複数の専門分野が関係します。一人の専門家だけですべての問題を解決できるとは限らないため、悩みに応じて相談先を選ぶことが重要です。
税理士・司法書士・弁護士などの役割の違い
相続税がかかるか分からない、土地をどのように評価するか知りたい、相続税申告を進めたい場合は、税理士への相談が中心になります。
相続登記や不動産の名義変更については司法書士が専門です。
遺産分割について相続人同士で争いがあり、交渉や法的な対応が必要な場合には弁護士への相談が必要になることがあります。
境界の確認や土地の測量が必要なケースでは土地家屋調査士、不動産を売却する場合には不動産会社など、目的によって専門家が変わります。
「どこへ相談すればよいのか分からない」という段階では、現在困っていることを整理できる窓口から相談し、必要に応じて別の専門家と連携して進める方法もあります。
境界・農地・抵当権など土地特有の注意点
土地には、預貯金にはない個別の問題があります。
たとえば古い土地では境界が明確でないことがあります。土地を売却するときに測量や隣地との境界確認が必要になる場合もあるため、早めに確認しておくと安心です。
登記簿に抵当権などが残っている場合も、その内容を確認する必要があります。
農地を相続した場合は、一般的な土地相続に加えて農地特有の手続きがあります。農林水産省では、相続などで農地を取得した場合、農業委員会への届出が必要であることを案内しています。
私道、共有地、山林、再建築に制約がある土地なども、一般的な宅地と同じ感覚で売却や活用を判断できないことがあります。
早めに専門家へ相談したいケース
書類を集めるところまでは自分で進められても、判断が難しい部分まで無理に自己判断する必要はありません。
特に次のような場合は、早めに専門家へ相談することで手続きの順番を整理しやすくなります。
- 相続登記をしていない土地が残っている
- 土地の相続税評価額が分からない
- 相続税がかかるか判断できない
- 相続人が複数いて土地の分け方が決まらない
- 兄弟姉妹で意見が対立している
- 使わない土地を売るか残すか迷っている
- 境界、共有、農地など土地特有の問題がある
- 相続した土地以外にも多くの財産がある
相談するときには、固定資産税の納税通知書、登記事項証明書、遺言書、預貯金などの財産が分かる資料があると状況整理がスムーズです。資料がすべてそろっていなくても、分かる範囲から相談する方法があります。
税理士法人木村会計事務所の相続・贈与サポート

土地を含む相続では、相続税だけでなく、その後どのように財産を引き継ぐかまで考えることが重要です。税理士法人木村会計事務所では、相続・贈与に関するサポートを行っています。
相続税と資産承継を整理するサポート
税理士法人木村会計事務所は、群馬県高崎市にある税務・会計の専門家として、相続・贈与サポートを提供しています。
相続税の申告をはじめ、遺産分割や贈与を含め、大切な資産を円滑に引き継ぐための相談に対応しています。家族間の対話を重視しながら相続・贈与を支援することも、私たちが大切にしている考え方です。
土地について「相続税がかかるのか」「どのように評価するのか」「ほかの財産とどう分けるのか」といった疑問があれば、まず状況を整理するところからご相談いただけます。
他士業との連携を含めた相談体制
土地相続では、税理士だけで対応が完結しないことがあります。
税理士法人木村会計事務所では、ご依頼内容に応じて弁護士、司法書士、行政書士などの専門家と連携できる体制を整えています。
たとえば相続税については税理士、相続登記については司法書士、遺産分割の争いについては弁護士といったように、それぞれの専門分野があります。
複数の問題が同時に起きやすい相続だからこそ、「自分は誰に相談すればよいのか」を整理することも重要です。相談先が分からない場合でも、現在の状況や不安を整理するところからお話しください。
初回相談から提案・見積もりまでの流れ
税理士法人木村会計事務所では、お電話またはお問い合わせフォームからご相談を受け付けています。公式サイトでは相続に関する初回無料相談も案内しています。
初回相談では、ご家族の状況、財産の概要、現在不安に感じていることなどを確認します。資料の準備は必須ではありませんが、財産目録や不動産の評価証明書などがある場合は、より具体的に状況を整理しやすくなります。
その後、相談内容に応じたサービスをご提案し、サービス内容に基づいて見積もりをご案内します。
土地を相続したものの「何から始めればよいか分からない」という段階でも問題ありません。税金、登記、分け方、土地の今後を一つずつ分けて整理していくことが、解決への第一歩になります。
土地の相続でよくある質問

土地を相続したら、まず何をすればよいですか?
まず、亡くなった方が所有していた土地と相続人を確認し、遺言書の有無を調べます。
その後、誰が土地を取得するかを整理し、相続登記、相続税の確認へ進みます。土地を売却する予定がある場合でも、最初から売却だけを進めるのではなく、相続関係と登記を先に整理することが大切です。
固定資産税の納税通知書や登記事項証明書など、手元にある資料から確認を始めてください。
相続した土地の名義が亡くなった人のままの場合
相続登記が済んでいない可能性があります。
現在は相続登記が義務化されており、相続による不動産取得を知った日から原則3年以内の申請が必要です。2024年4月1日以前に相続した土地で未登記のものも対象で、以前から相続したことを知っていた場合は原則2027年3月31日までに登記する必要があります。
祖父母やそれ以前の世代から名義が変わっていない土地では、相続人の調査が複雑になることがあります。早めに司法書士などへ相談した方がよいケースもあります。
いらない土地だけ相続放棄できる?
原則としてできません。
相続放棄は「この土地だけいらない」と財産を選択して放棄する制度ではなく、その相続について相続人の立場そのものを放棄する手続きです。
預貯金は受け取って不要な土地だけ放棄する、という使い方はできません。
不要な土地がある場合でも、まず遺産全体を確認したうえで、売却、活用、相続土地国庫帰属制度などほかの方法と比較してください。
相続した土地はすぐに売却できる?
遺産分割や相続登記が済んでいない場合は、それらを先に整理する必要があります。
また、境界が不明な土地、共有土地、農地などは、通常の宅地より売却までの確認事項が多くなる可能性があります。
売却を急ぐ場合でも、不動産会社の査定だけでなく、相続登記や税金を同時に確認しておくと、その後の手続きが進めやすくなります。
土地の相続税が分からない場合の相談先
相続税の有無や土地の相続税評価については、税理士が主な相談先です。
土地だけで相続税の有無を判断するのではなく、預貯金、株式、建物などを含めた財産全体を確認する必要があります。
路線価方式や倍率方式でおおまかな評価方法を確認することはできますが、土地の形状、利用状況、権利関係などによって評価が変わるケースもあります。
税理士法人木村会計事務所でも相続・贈与に関するご相談を受け付けています。相続税がかかるか分からない段階でも、まず財産状況を整理するところからご相談いただけます。
相続した土地で迷ったときの確認ポイント
- 土地を相続したら、まず所有土地、相続人、遺言の有無を確認します
- 土地だけでなく預貯金などを含めた遺産全体を把握してから分け方を考えます
- 相続登記は原則として不動産を相続したことを知った日から3年以内に必要です
- 2024年4月1日以前の相続で未登記の土地にも相続登記義務が関係します
- 土地の分け方には現物分割、代償分割、換価分割などがあります
- 安易な共有名義は将来の売却や管理が複雑になる可能性があります
- 相続税がかかるかどうかは土地だけではなく財産全体から判断します
- 土地の相続税評価には主に路線価方式と倍率方式があります
- 土地の形状、利用状況、権利関係によって評価額が変わる場合があります
- 利用予定のない土地は保有だけでなく売却や処分方法も早めに検討します
- 相続放棄では原則として不要な土地だけを選んで放棄することはできません
- 売却が難しい土地では相続土地国庫帰属制度を検討できる場合があります
- 税金は税理士、登記は司法書士、相続人間の争いは弁護士など相談先が異なります
- 境界、共有地、農地、抵当権などがある土地は追加の確認が必要です
- 税理士法人木村会計事務所では、相続・贈与について状況を整理する段階から相談できます